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書籍(参考資料)
「ペリリュー・沖縄戦記」
基本情報
「ペリリュー・沖縄戦記」
著者:ユージン・B・スレッジ 伊藤 真/曽田 和子 (訳) 出版社:講談社 講談社学術文庫1885 定価(税別):1400円(2008年) 初版発行:2008年8月7日 JP番号:21468367 日本図書コード ISBN-10:4061598856 ISBN-13:9784061598850
書籍概要
パラオ諸島ペリリュー島と沖縄本島での作戦に従軍した米海兵隊員による戦記である。
本書の著者であるユージン・B・スレッジ氏は、アメリカ海兵隊第1海兵師団第5連隊第3大隊K中隊の一兵士として、昭和19年(1944年)9月〜10月のパラオ諸島ペリリュー島の戦闘、昭和20年(1945年)4月〜6月の沖縄本島の戦闘に参加した。スレッジ氏はこれらの戦闘から生還し、戦後に復員、大東亜戦争中の自身の従軍体験を手記に纏めた。そして、昭和56年(1981年)に「With the Old Breed」と題して出版した。本書は、平成20年(2008年)8月に初めて出版された訳本である。 尚、スレッジ氏は、映画「ザ・パシフィック」(2010年:アメリカ)の主人公である 二等兵のモデルであり、特に第 話から第 話でのペリリュー島のエピソードの多くは本書の内容が基になっている。
本書は、大きく2部に分かれており、前半の第一部(第一章〜第六章)はパラオ諸島ペリリュー島での従軍記、後半の第二部(第七章〜第十五章)は沖縄本島での従軍記である。 第一章と第二章では、著者がアメリカ海兵隊に志願し、カリフォルニア州サンディエゴで歩兵としての訓練を受け、補充兵として太平洋戦線に送られるまでが描かれている。この章では、米軍の兵員輸送の状況や、昭和18年(1943年)以降、第1海兵師団が展開するラッセル諸島パヴヴ島の様子などが紹介されている。著者はここで第1海兵師団第5連隊第3大隊K中隊に配属された。 第三章から第六章では、著者が、昭和19年(1944年)9月15日から10月30日までの約1月半に渡って参加したペリリュー島に於ける戦闘の様子が描かれている。この章では、第5海兵連隊第3大隊が実際に作戦行動を行った地域の描写が詳細に紹介されている。即ち、9月15日のオレンジビーチ(西地区)への敵前上陸、翌9月16日にかけての飛行場周辺での戦闘、9月17日から25日頃にかけての山岳地帯東側での戦闘と東地区での掃討戦、9月26日から27日にかけての北地区での戦闘、9月28日の北端にあるカドブス島の攻略戦、10月3日から約3週間にわたる山岳地帯での戦闘、そして10月30日に第5海兵連隊がペリリュー島を去るまでである。これら一連の戦闘に於いて、著者の所属する第5海兵連隊は大きな損害を受け、後に第81歩兵師団と交代した。 第七章では、著者を含む第5海兵連隊の残存部隊が、ペリリュー島からパヴヴ島の補給基地に引き上げ、休養と戦力回復に努める様子が紹介されている。この章は、本書の中では米海兵隊の後方での様子が紹介された数少ない部分である。 第八章から第九章では、昭和20年(1945年)4月1日から開始された沖縄本島への上陸作戦の様子が描かれている。日本軍は南部での持久戦を計画しており、米軍は殆ど抵抗を受けることなく上陸した。この章では、第5海兵連隊第3大隊が実際に作戦行動を行った地域の描写が詳細に紹介されている。即ち、4月1日の沖縄本島中部への上陸と、ほぼ4月いっぱいの間行われた沖縄本島中部一帯の掃討、金武湾の高離島(宮城島)への上陸と占領などであり、この時、第5海兵連隊は大きな戦闘には遭遇していない。 第一〇章から第一三章では、沖縄本島南部に進撃する米軍と日本軍守備隊との戦闘が激化していく様子が描かれている、5月1日以降、第5海兵連隊第3大隊K中隊も最前線に投入され、早速、安謝川や沢岻村周辺での戦闘に参加、5月3日〜4日には日本軍の大規模な逆襲が行われた。8日には沢岻村に近い安波茶地区の日本軍陣地に対する攻撃を開始、13日頃までに同地区を占領したものの、日本軍の頑強な抵抗によってK中隊は大きな損害を受けた。更に15日からは第5海兵連隊による大名高地への攻撃が開始され、約1週間に渡る激戦が繰り広げられた。K中隊と筆者は、21日頃、安里付近(ハーフムーン)に進出するが、日本軍はここでも約1週間に渡って米軍の前進を阻止した。29日にはついに米軍が首里高地に達し、筆者も首里城付近に進出した。日本軍残存部隊は30日に後退を開始するが、4月から5月末までの約2ヶ月間の戦闘に於いて、米軍は5309名の戦死者を出した。 第十四章から第十五章では、6月以降の沖縄本島の最南端周辺での戦闘の様子が描かれている。6月1日から4日にかけての掃討戦や、6月11日から18日にかけての国吉丘陵での戦闘、6月後半の掃討戦の様子が紹介されている。そして、著者は8月15日の終戦を沖縄本島北部の宿営地で迎えた。
本書は、元アメリカ海兵隊員の著作である為、当然ながら米軍の視点で描かれている。その為、
本章は、戦争に於いて戦場とはどの様な場所なのか、戦闘とはどの様な行為なのか、そこにいる将兵達はどの様に振る舞いどの様に思考するのか、 本書は、戦争の本質を知る為に是非とも読むべき1冊である。
目次
はしがき・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3P 第一部 ペリリュー ― 黙殺された戦闘・・・・・・・・・・・・・11P 第一部によせて ジョン・A・クラウン・・・・・・・・・・・・・12P 第一章 海兵隊員の誕生 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14P 第二章 戦闘準備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30P 第三章 ペリリュー島へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72P 第四章 地獄への強襲 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・91P 第五章 再び上陸作戦 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・167P 第六章 去りゆく勇者たち ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・203P 第二部 沖縄 ― 最後の勝利 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・251P 第二部によせて トマス・J・スタンリー ・・・・・・・・・・252P 第七章 休息とリハビリ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・255P 第八章 進攻の序章 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・272P 第九章 執行猶予 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・290P 第一〇章 地獄へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・317P 第一一章 不安と恐怖 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・339P 第一二章 泥とウジ虫と ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・362P 第一三章 突破口・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・395P 第一四章 首里を過ぎて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・423P 第一五章 苦難の果て・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・450P 訳者あとがき・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・468P 解説 保坂 正康・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・471P
関連書籍
「アンガウル、ペリリュー戦記 玉砕を生きのびて」 「証言記録 生還 玉砕の島ペリリュー戦記」
関連項目
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