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書籍(参考資料)
日本海軍
<艦艇・船舶>
「戦艦入門 動く大要塞徹底研究」
基本情報
著者:佐藤 和正 出版社:光人社 光人社NF文庫 定価(税別):743円(1997年) 初版発行:1997年11月13日 日本図書コード ISBN-10:4769821786 ISBN-13:9784769821786
書籍概要
大東亜戦争に於ける日本海軍の戦艦に関して説明した解説書である
本書は、一部に各国の戦艦に関しても言及しているが、内容の殆どは大東亜戦争於ける日本海軍の戦艦(「金剛」「榛名」「比叡」「霧島」「扶桑」「山城」「伊勢」「日向」「長門」「陸奥」「大和」「武蔵」)を扱っており、実質的にこれら12隻の戦艦の入門書と言える。
冒頭の章では、戦艦という艦種が登場してから発展していくまで流れが分かる。 即ち、19世紀後半に近代的な戦艦の始祖が出現し、その後の日露戦争や第一次世界大戦を経て、弩級艦や超弩級艦へと進化した。そして、第一次世界大戦後にポスト・ジュットランド型戦艦が登場した後、大正10年(1921年)のワシントン軍縮条約によって列強間の建艦競争は休止状態に入るまでの一連の流れが解説されている。 尚、この章では、19世紀後半から20世紀初頭の戦艦の黎明期に於いて、当時の海軍先進国であった英国海軍の戦艦が多数紹介されている。また、日本海軍の八八艦隊案に於いて計画された戦艦群も一部紹介されている。
本書の多くは大東亜戦争に於ける日本海軍の戦艦の解説に割かれ、戦艦各型ごとの章に分けられている。各章ではその戦艦の建造過程と技術的事項と共に、その戦艦の代表的な戦歴や戦記も紹介されている。 第一章では戦艦「大和」「武蔵」に関して解説されているが、戦艦一般に関する技術的事項として、主砲の砲身とその口径に関して、主砲塔に要求される機能・性能、戦艦の防御方法に関する考え方、日本海軍が艦艇の主砲弾に採用した「九一式徹甲弾」二間してなどが紹介されている。第二章では戦艦「金剛」「榛名」「比叡」「霧島」に関して解説されており、この金剛型戦艦4隻は大東亜戦争中に最も活躍した為、戦歴や戦史が多数紹介されている。具体的には、ガダルカナル島に対する艦砲射撃・第三次ソロモン海戦・サマール島沖海戦に関してである。技術的事項としては装甲鈑(VC甲鈑)の製造法や、金剛型戦艦の改装などが紹介されている。第三章では戦艦「扶桑」「山城」に関して解説されており、ここでは扶桑型戦艦2隻の問題点とその後の改装に関して、そして大東亜戦争に於ける扶桑型戦艦唯一の戦歴であるスリガオ海峡の夜戦が紹介されている。第四章では戦艦「伊勢」「日向」に関して解説されており、その建造過程とその後の改装、そして伊勢型戦艦に特筆される航空戦艦への改装の様子が紹介されている。第五章では戦艦「長門」「陸奥」に関して解説されており、日本海軍初のポスト・ジュットランド型戦艦としての建造過程や性能が紹介されている。また戦艦一般に関する技術的事項として、方位盤を用いた主砲の射撃方法に関して説明されている。
本書の各章は、戦艦の歴史という点でほぼ時系列順に掲載されているが、第二章の戦艦「大和」「武蔵」の項は、本来なら時系列的には最も最後になるが、初めの方で紹介されている。それ以外の各型の戦艦の章に関しては、登場した順番に紹介されている。
本書は、文章も平易であり、各章の分量も適切で、初心者にも読みやすい。 本書は、大東亜戦争に於ける日本海軍の戦艦を一瞥するには最適であり、表題どおり戦艦の入門書と言えるだろう。
目次
プロローグ 戦艦の航跡・・・・・11P 近代的戦艦のはじまり 世界最大の「三笠」 新時代を画した弩級艦 日本の弩級戦艦 超弩級艦の幕開き 超弩級艦の全盛時代 ポスト・ジュットランド型 建艦競争はじまる ワシントン軍縮条約 砲戦力の絶対的劣勢 第一章 大艦巨砲の極致 大和 武蔵 史上空前の新戦艦・・・・・43P 未曾有の巨砲搭載要求 最大ゆえに苦心した機密保持 パナマ運河の幅が決した主砲 「大和」型の特徴 主砲塔の威力と影響・・・・・62P 理想的な砲身と口径 砲塔の条件 九一式徹甲弾の威力 爆風の影響 攻撃力にみあった防御力・・・・・76P 防御方法の考え方 強大な直接防御 画期的な「蜂の巣甲鉄」の発明 対空防御の充実 「大和」型、その終焉・・・・・90P 大艦巨砲から飛行機へ 「大和」型ア・ラ・カルト 第二章 超弩級巡洋戦艦の第一群 金剛 榛名 比叡 霧島 「金剛」「榛名」のガ島砲撃・・・・・99P 新機軸の陸上砲撃 壮烈なガ島砲撃 山本長官の両刃の剣 「金剛」型、英国での誕生・・・・・108P 英国生まれの「金剛」 国産化されたVC甲鈑 大改装で高速戦艦に 緒戦に活躍した「金剛」型・・・・・124P 多目的使用の高速戦艦 空母警戒艦として活躍 「比叡」血みどろの奮戦・・・・・131P 第三次ソロモン海戦の開幕 先手をとった米艦隊の大混乱 息づまる「比叡」の死闘 戦艦沈没の第一号 「霧島」ソロモン海戦での自沈・・・・・146P 山本長官ガ島砲撃の執念 レーダー対光学兵器、互角の勝負 一艦よく三艦を制す 初の戦艦対戦艦 「霧島」の最期 サマール沖に空母を撃つ・・・・・166P 突然の会敵 「金剛」最後の檜舞台 「金剛」「榛名」ついに死す・・・・・175P 米潜シーライオンの襲撃 江田島に着底した「榛名」 第三章 世界最大・最強の超弩級戦艦 山城 扶桑 失敗作だった超弩級戦艦・・・・・183P 欠陥だらけの新戦艦 大改装で生まれかわったが スリガオ海峡の悲劇・・・・・191P 大海戦の幕開く 敵機、スル海で撃退 誤算となった全軍突撃の電令 魚雷艇の肉薄攻撃を撃退 スリガオ海峡に突入す 言語に絶する「扶桑」の爆発 断末魔の「山城」 第四章 世界に類いなき航空戦艦 伊勢 日向 難産だった「伊勢」型の誕生・・・・・227P 暗中模索の改「扶桑」型 出てきた欠陥 近代戦艦への変貌・・・・・242P ”海軍休日”を利用して改装 第一期の改装 第二期の大改装 未曾有の航空戦艦・・・・・262P 「日向」の五番砲塔爆発事件 航空戦艦への改装命令 ふたたび大改装に着手 最後は戦艦として戦闘 第五章 帝国海軍のシンボル 長門 陸奥 軍艦の王者、誕生・・・・・287P 世界にさきがけた超・超弩級戦艦 巨艦の内訳 近代化へのスタート 暴露した機密の速力 大改装で”不沈艦”となる・・・・・311P 大改装の背景 強化された射撃指揮装置 不沈艦にした応急注排水装置 貴公子の艦容に一変 「陸奥」「長門」の最期・・・・・324P 開戦と「陸奥」の爆沈 ビキニ環礁で標的艦となる 戦艦一覧・・・・・332P あとがき・・・・・335P
関連書籍
「遠い島 ガダルカナル」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・戦艦「金剛」「榛名」「比叡」「霧島」 「栗田艦隊 レイテ沖海戦秘録」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・戦艦「金剛」「榛名」「山城」「扶桑」「大和」「武蔵」
「撃沈戦記」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・戦艦「霧島」 「猛き艨艟 太平洋戦争日本軍艦戦史」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・戦艦「大和」「武蔵」「長門」 「ドキュメント戦艦大和」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・戦艦「大和」 「空母瑞鶴 日米機動部隊最後の戦い」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・戦艦「山城」「扶桑」「伊勢」「日向」
「戦艦「大和」の建造」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・戦艦「大和」 「戦艦武蔵」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・戦艦「武蔵」
関連項目
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