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書籍(参考資料)
「あゝ海軍特年兵 ある青春の死線彷徨」
基本情報
著者:井上 理二 出版社:光人社 定価(税込):550円(1972年) 初版発行:1972年6月 JP番号:73004631
著者:井上 理二 出版社:光人社 光人社NF文庫 定価(税別):500円(1996年) 初版発行:1996年4月15日 JP番号:96051077 日本図書コード ISBN-10:4769821182 ISBN-13:9784769821182
書籍概要
特別年少兵として大東亜戦争に従軍、奇跡的に生還した井上理二氏が自らの体験を基に著した手記である。
大東亜戦争開戦後、日本海軍は特別年少兵(特年兵)制度を設け、昭和17年(1942年)9月に第一期生が入隊した。特年兵は海軍の下士官兵を補充する為の志願兵制度で、応募資格は14歳から16歳、当初は3年間の教育・訓練の後に第一線部隊に配属する予定であった。しかし、戦局の悪化によって訓練期間が1年半に短縮され、多くの特年兵は、実に15,6歳の若さで最前線に立った。そして、多くの特年兵が苛烈な戦場で命を散らしていったが、戦後、特年兵制度に関しては公的な文書や戦史にも殆ど記載されず、その存在は不明な点が多かった。
井上理二氏は、昭和17年(1942年)9月、自ら特年兵に志願して海軍に入隊、厳しい訓練の後に駆逐艦「磯風」に配属となり、大東亜戦争後半の苦しい戦闘を戦い、多くの戦友や同期の特年兵が戦死するなか奇跡的に生き残った。そして、戦後、特年兵に関する記録が殆ど残されていない事への憤りと、戦死した多くの仲間達への鎮魂の為、自らの体験を綴った本書を世に出した。
本書は時系列順に7つの章から構成されている。 第一章は、著者である井上氏が、海軍特別年少兵(特年兵)に合格し、昭和17年(1942年)9月大竹海兵団に入団、その後、約1年半に渡る海兵団での訓練の様子が描かれている。 第二章では、昭和18年(1943年)12月、海兵団での訓練を終えた著者が第十七駆逐隊の駆逐艦「磯風」に配属されてからの様子が描かれている。この頃の「磯風」は、昭和19年(1944年)1月に呉軍港を出港、マーシャル諸島のブラウン環礁・ルオット環礁やトラック諸島への輸送任務に従事、1月26日にはトラック泊地に入港して2月10日に出港した。2月21日には戦艦「長門」「扶桑」等とともにパラオ泊地からリンガ泊地(インドネシア)に回航した。3月にはマリアナ諸島への船団護衛任務に従事、パラオ泊地に寄港した後、呉軍港に入港した。本章では、当時のシンガポールの様子などが描かれている。 第三章では、昭和19年(1944年)3月から5月にかけて、著者が経験した「磯風」での勤務の様子が紹介されている。この頃の「磯風」は、3月20日頃、輸送船団を護衛してシンガポールに入港、27日には特務艦「大瀬」や輸送船「あまつ丸」「あさしほ丸」「雄鳳丸」などを護衛してパラオ泊地に入港、29日には戦艦「武蔵」などともに出港した。4月上旬にはフィリピン諸島ルソン島のマニラ港に入港した後、マリアナ諸島グアム島への輸送任務に従事した。5月に入ると「あ」号作戦にそなえてタウイタウイ泊地に回航した。本章では、パラオ泊地出港直後に「武蔵」が米潜水艦の雷撃によって損傷した時の様子や、当時のマニラ市街の様子などが紹介されている。 第四章では、著者が「磯風」乗員として参加したマリアナ沖海戦(「あ」号作戦)の様子が描かれている。昭和19年(1944年)5月中旬、連合艦隊主力(第一機動艦隊)はフィリピン諸島南西部タウイタウイ泊地に集結しつつあった。第十七駆逐隊の「磯風」も僚艦「浦風」「雪風」「谷風」とともにタウイタウイ泊地で訓練を行っていた。6月13日、「あ」号作戦発動を受け、第一機動艦隊はフィリピン諸島中部ギマラス泊地に回航、15日は同泊地を出港してマリアナ諸島に向かった。「磯風」は艦隊旗艦である空母「大鳳」の直援として行動した。本章では、著者が体験したマリアナ沖海戦の様子、特に「大鳳」の被雷や沈没の様子が紹介されている。 第五章では、昭和19年(1944年)9月頃の「磯風」の作戦行動や同年10月に行われたレイテ沖海戦の様子が描かれている。昭和19年(1944年)9月2日、「磯風」は呉軍港を出港、戦艦「大和」以下を護衛してスマトラ島(インドネシア)西方のリンガ泊地に向かった。その後、約一ヶ月間に渡って訓練が行われ、10月17日、捷一号作戦発動によって連合艦隊主力はリンガ泊地を出港、フィリピン諸島に向かった。本章では、呉軍港を出港してからの航海の様子や、リンガ泊地での訓練の様子、そして10月24日から26日にかけて行われたレイテ沖海戦の様子が紹介されている。 第六章では、レイテ沖海戦後の昭和19年(1944年)末頃から昭和20年(1945年)春頃までの著者の体験が描かれている。著者の乗艦する「磯風」は、レイテ沖海戦後の昭和19年(1944年)11月27日、戦艦「長門」を護衛して横須賀軍港に入港、翌28日には竣工したばかりの空母「信濃」を護衛して呉軍港に向かった。本章では、著者が目撃した「信濃」の最期の様子が紹介されている。呉軍港に入港した「磯風」は、シンガポールへの船団護衛任務等に従事していたが、昭和20年(1945年)に入ると、燃料不足によって殆どの艦艇は行動が著しく制限さ、3月18日には呉軍港も米軍の空襲を受けるた。この頃の呉軍港の様子も紹介されている。 第七章では、「磯風」の最後の作戦行動となった沖縄特攻作戦(天一号作戦)に参加した時の状況が描かれている。昭和20年(1945年)4月6日、戦艦「大和」と第二水雷戦隊(軽巡「矢矧」・駆逐艦8隻)は呉軍港を出港、沖縄本島周辺の米艦隊を目指した。「磯風」も第十七駆逐隊の「雪風」「浜風」とともに「大和」直援の任務に就いた。本章では、出撃前夜の様子や、7日の対空戦闘の様子、そして「磯風」の最後の様子が描かれている。
本書は、当時、15,6歳の若さで駆逐艦に乗り組み、大東亜戦争後半の約1年半を戦い抜いた一兵士の手記である。そこには、与えられた任務を全うし、ただ純粋に祖国と家族の為に戦おうとした1人の少年の姿が描かれている。そしてその少年が実際に見たり感じた事が綴られており、正に大東亜戦争の最前線の様子
本書は、海軍特別年少兵が
目次 (光人社 光人社NF文庫)
はじめに 第一章 海へ巣立つ 入団前・・・・・・・・11P 旅立ちの日・・・・・・・・20P 殴打の罰則・・・・・・・・27P 最初の面会・・・・・・・・32P カッター訓練・・・・・・・・36P 原村演習・・・・・・・・39P 艦務実習・・・・・・・・44P 無法松と眠り松・・・・・・・・47P 第二章 俺は死なない 初航海・・・・・・・・52P スコール・・・・・・・・56P 半舷上陸・・・・・・・・59P Uボート・・・・・・・・62P 逃避行・・・・・・・・67P 赤い腰巻・・・・・・・・73P 俺は死なない・・・・・・・・77P 第三章 「磯風」と共に 異国の町で・・・・・・・・80P ある慰問袋・・・・・・・・86P 「武蔵」被雷す・・・・・・・・90P マニラへ・・・・・・・・95P 艦上の挿話・・・・・・・・100P 孤島にて・・・・・・・・105P 三艘のカヌー・・・・・・・・111P 第四章 戦いすんで日が暮れて 水葬の朝・・・・・・・・115P 長い戦闘・・・・・・・・120P 暗黒の海・・・・・・・・138P 第五章 悲運の海にて 「大和」の護衛・・・・・・・・142P 珊瑚礁の島・・・・・・・・149P 南十字星・・・・・・・・152P 「武蔵」の最後・・・・・・・・155P 第六章 花は桜木、人は武士 「信濃」の沈没・・・・・・・・177P 行水と洗濯・・・・・・・・184P 油槽船の死・・・・・・・・188P 生から無へ・・・・・・・・191P 眠れぬ夜・・・・・・・・195P 落日の呉で・・・・・・・・201P 惜別のとき・・・・・・・・205P 第七章 菊水の旗の下に 死出の旅路・・・・・・・・211P 壊滅・・・・・・・・216P
関連書籍
「栗田艦隊 レイテ沖海戦秘録」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・第五章 悲運の海にて・・・・・・・・・・・・・・・・レイテ沖海戦
「猛き艨艟 太平洋戦争日本軍艦戦史」・・・・・・・・・・・第四章 戦いすんで日が暮れて・・・・・・・・空母「大鳳」 第五章 悲運の海にて・・・・・・・・・・・・・・・・戦艦「大和」「武蔵」・高雄型重巡 第六章 花は桜木、人は武士 ・・・・・・・・・・空母「信濃」 第七章 菊水の旗の下に・・・・・・・・・・・・・・戦艦「大和」・軽巡「矢矧」 「ドキュメント戦艦大和」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第七章 菊水の旗の下に・・・・・・・・・・・・・・戦艦「大和」 「信濃! 日本秘密空母の沈没」 ・・・・・・・・・・・・・・・・第六章 花は桜木、人は武士 ・・・・・・・・・・空母「信濃」
「戦艦入門 動く大要塞徹底研究」 ・・・・・・・・・・・・・・・第五章 悲運の海にて・・・・・・・・・・・・・・・・戦艦「大和」「武蔵」 第七章 菊水の旗の下に・・・・・・・・・・・・・・戦艦「大和」
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