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書籍(参考資料)
日本海軍
<艦艇・船舶>
「航跡 造船士官福田烈の戦い」
基本情報
著者:古波蔵 保好 出版社:光人社 光人社NF文庫 定価(税込):500円(1996年) 初版発行:1996年3月12日 日本図書コード ISBN-10:4769821166 ISBN-13:9784769821168
書籍概要
日本海軍の造艦史について概説した本である。
本書は、日本海軍の造船士官であった福田烈元技術中将に注目し、福田元技術中将が技士として海軍に任官し、様々な艦艇の設計や建造を手がけていく過程を描くことで、大正時代から昭和初期、そして大東亜戦争に於ける日本海軍の造艦造船の歴史を一瞥している。特に、福田元技術中将が取り組んだ電気溶接という新技術に焦点が当てられ、電気溶接が当時の造艦造船に於いて非常な技術的進歩をもたらし、戦後の造船界にも大きな貢献をした事が紹介されている。
本書は、福田烈元技術中将の海軍に於ける経歴にそって時系列順にまとめられている。 東京帝国大学を卒業した福田烈氏は、大正7年(1918年)に海軍中技士に任官し、造船士官としての経歴をスタートさせた。任官当初から、当時はまだ造船には一般的でなかった新技術である電気溶接の研究に取り組み、大正10年(1921年)には電気溶接を持ちいて水雷艇の修理を行った。また、この頃、海軍造船の重鎮として活躍していた平賀譲造船中将の手による軽巡洋艦「夕張」や重巡洋艦「古鷹」に関しても紹介されている。 福田氏は、大正14年(1925年)から昭和2年(1927年)にかけて、日本海軍の造船監督官としてイギリスに出張、ここで、各国の海軍関係者や造船技術者と交流し、また、当時建造中であった英海軍の戦艦「ネルソン」に関する調査や、英海軍軽巡洋艦「エンタープライズ」の見学調査を行った。帰国後も福田氏は、電気溶接による問題点の解決に尽力し、溶接時に鉄板に生じるひずみの対策の研究を行った。また、昭和6年(1931年)には、この時に勃発した満州事変に出動する一等海防艦「出雲」に作戦室を増設する工事を担当、電気溶接を用いる事でこの工事を3日間で終了させ、電気溶接の有効性を示した。 その後、昭和9年(1934年)3月12日、水雷艇「友鶴」の転覆事件が発生、この事件は一部艦艇の復元力不足が原因であり、当時、軍縮条約の影響によって個艦の戦闘力増強に迫られていた造船関係者の苦悩を裏付ける事件であった。本書ではこの事件の一部始終も詳細に紹介されており、この時、福田氏は事件調査の査問委員に参加している。そして、昭和10年(1935年)9月26日、第四艦隊事件が発生し、日本海軍の造船関係者に大きな衝撃を与えた。特に、新技術である電気溶接に対して疑いの目が向けられ、その使用が一部制限されるに到ったが、その後も福田氏が電気溶接の発展に尽力していく様子が描かれている。 本書では、電気溶接の技術が確立されていく過程に於いて、その試金石的役割を担った敷設艦「八重山」・潜水母艦「大鯨」「剣埼」についても紹介されている。特に初めて電気溶接によって建造された大型艦である潜水母艦「大鯨」に関しては詳細に紹介されている。
本書は、福田烈元海軍技術中将の経歴を追いながら、日本海軍の造艦造船の歴史を見ていく事が出来る。また、その中で大きな役割を果たした電気溶接という技術に関して特に焦点が当てられており、この点が本書の特徴である。 本書は、日本海軍の造艦史を知る際には、是非とも読むべき1冊であろう。
目次
主題の紹介・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9P 電気溶接問答 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14P 「休日」時代の海軍 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・32P 「古鷹」という傑作・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55P 戦艦「ネルソン」を探る・・・・・・・・・・・・・・・・75P 軍艦が転覆するとき ・・・・・・・・・・・・・・・・・95P 「復原性」への疑惑・・・・・・・・・・・・・・・・・・110P 船体が引き裂かれるとき ・・・・・・・・・・・・・135P 波は複雑怪奇である ・・・・・・・・・・・・・・・・153P 航空母艦の変装術 ・・・・・・・・・・・・・・・・・176P 回想のなかの「大和」「武蔵」・・・・・・・・・・202P そして沈まないもの ・・・・・・・・・・・・・・・・・225P あとがき・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・242P 文庫版あとがき・・・・・・・・・・・・・・・・・・244P
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関連項目
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