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書籍(参考資料)
「伊58潜帰投せり」
基本情報
「伊58潜帰投せり」
著者:橋本 以行 出版社:朝日ソノラマ 航空戦史シリーズ79 定価(税込):620円(1987年) 初版発行:1987年1月16日 日本図書コード ISBN-10:4257170794
「伊58潜帰投せり」
著者:橋本 以行 出版社:朝日ソノラマ 新装版戦記文庫14 定価(税込):880円(1993年) 初版発行:1993年5月 日本図書コード ISBN-10:4257172746 ISBN-13:9784257172741
「伊58潜帰投せり」
著者:橋本 以行 出版社:学習研究社 学研M文庫 定価(税込):756円(2001年) 初版発行:2001年1月 日本図書コード ISBN-10:4059010286 ISBN-13:9784059010289
書籍概要
大東亜戦争に於ける日本海軍潜水艦の戦いを描いた戦記である。
本書は、大東亜戦争中、潜水艦艦長を歴任し、始終、潜水艦戦の第一線で活躍した橋本以行元海軍中佐が、自身の体験と戦後の調査を元に著した日本海軍の潜水艦戦史であり、昭和27年(1952年)2月に初めて出版された。
本書の著者である橋本元中佐は、昭和16年(1941年)12月8日の大東亜戦争開戦時、「伊号第二四潜水艦」の水雷長(先任将校)としてハワイ諸島オアフ島真珠湾への特別攻撃に参加、その後、潜水学校甲種学生(潜水艦長)課程を経て、「呂号第三一潜水艦」「伊号第一五八潜水艦」「呂号第四四潜水艦」の潜水艦長としてソロモン諸島・東部ニューギニア方面に於ける作戦に参加した。 橋本元中佐は、実戦での経験に基づいて潜水艦への電探兵器搭載を強く主張するなど、科学技術の発達を重要視していた。また、大東亜戦争末期、「伊号第五八潜水艦」の艦長として、マリアナ諸島テニアン島に原子爆弾を輸送した米海軍重巡洋艦「インディアナポリス」を撃沈した事で知られている。
本書は第1部から第4部で構成されている。各章内は概ね時系列順に並べられ地域別に分けられているが、第1章の一部では、時系列的には第2章の話よりも先行する部分もあり、大東亜戦争全体の流れが予め頭に入っていないと、やや分かりにくいかもしれない。また、文章は初めのうちは多少読みにくい部分もあるが、後半は次第に慣れてくるであろう。 全体的には、橋本元中佐の体験記が3割、戦後の調査や元潜水艦乗員からの聞き取りによる部分が7割という内容である。各章の概要は次に示す。特に、最後の第4部に収められている、米海軍重巡洋艦「インディアナポリス」撃沈の模様と、その後の米軍軍事法廷での証言の様子は、非常に貴重な記録である。
第1部では、大東亜戦争開戦当初に於ける日本海軍の各潜水艦の活躍が紹介されている。特に、昭和16年(9141年)12月8日の大東亜戦争開戦劈頭、に「特殊潜航艇」によってハワイ諸島オアフ島真珠湾に対する特別攻撃には橋本元中佐も参加している。他にも、マレー沖海戦に於ける潜水艦の索敵、東は米本土西海岸から西はインド洋やアフリカ東岸に到る広大な海域での交通破壊戦や要地偵察と陸上施設への砲撃、更には遠くドイツへの連絡航海の様子も紹介されている。 第2部では、ミッドウェイ海戦や珊瑚海海戦に於ける潜水艦の作戦行動に始まり、ソロモン諸島・東部ニューギニア方面に展開した第七潜水戦隊の潜水艦の作戦行動、アリューシャン列島・ギルバート諸島・マリアナ諸島、フィリピン諸島に於ける潜水艦の苦闘が記録されている。特に、ミッドウェイ海戦に於いて米海軍空母「ヨークタウン」を撃沈した「伊号第一六八潜水艦」の活躍、ガダルカナル島への輸送作戦に於ける「伊号第一潜水艦」の奮闘、「伊号第一七六潜水艦」「伊号第一七六七潜水艦」による東部ニューギニア方面への輸送作戦の様子、「伊号第一八〇潜水艦」によるニュージョージア島付近での軽巡「神通」生存者の救出など、特定の潜水艦の活躍も描かれている。また、昭和19年(1944年)2月頃のトラック大空襲前後に於けるトラック泊地の様子、マーシャル諸島への潜水艦による補給の様子、当時の日本海軍潜水艦に対する電探装備の状況など、橋本元中佐の体験に基づく内容もある。 第3部では、大東亜戦争末期に登場した特攻兵器「回天」による各種作戦の様子が描かれている。回天作戦は、昭和19年(1944年)11月20日に米海軍のウルシー泊地に対して初めて行われ、以後、パラオ諸島コスソル水道・小笠原諸島硫黄島周辺、マリアナ諸島グアム島周辺などに対して行われた。この章では、参加した各潜水艦や「回天」の搭乗員などに関して詳細に記載されている。橋本元中佐も「伊号第五八潜水艦」の潜水艦長として回天作戦に参加し、多くの「回天」搭乗員勇士を送り出している。 第4部は本書の表題にもなっており、橋本元中佐の指揮する「伊号第五八潜水艦」による米海軍重巡洋艦「インディアナポリス」の撃沈と最後の「回天」戦の様子が描かれている。そして終戦を迎えた後、「インディアナポリス」撃沈の様子をアメリカの軍事法廷で証言した時の模様が詳細に述べられている。これらは橋本元中佐の体験による貴重な記録である。
本書では、大東亜戦争に於いて、日本海軍の潜水艦が如何にして戦ったか、その最前線での苦闘の様子を知る事が出来る。また、地味ではあるが重要な交通破壊戦、潜水艦による輸送作戦、潜水艦に装備された電探兵器の運用状況、回天作戦の現場、米重巡「インディアナポリス」の最期の様子など、 本書は、読むにあたってやや予備知識を必要とするが、潜水艦戦の現場の生の様子を伝える貴重な記録であり、大東亜戦争の一側面を知る為に是非読んでおきたい1冊である。
目次 (朝日ソノラマ 航空戦史シリーズ79)
第1部 潜水艦隊出動の命下る・・・・・・・15P 第1章 真珠湾特別攻撃行・・・・・・・17P 特殊潜航艇を抱いて 進路東! 開戦を前に危うく自沈 必死必殺の水中特攻 特潜ついに帰らず 湾内侵入に反対した山本長官 戦果に酔うクェゼリン基地 第2章 東太平洋を一暴れ・・・・・・・36P 真珠湾口海底の苦闘 空母レキシントンを追う 第3章 各地に上がる潜水艦の殊勲・・・・・・・46P ウェールズ、レパルスの発見 潜水艦搭載飛行機活躍す 「東京空襲」の報復 飛行艇のハワイ奇襲を誘導 水上機に燃料補給 「片道飛行」の特攻偵察 南ア、オーストラリアに第二次特攻 ミッドウェー島を砲撃 穴ぐら生活 第4章 効果の少ない砲撃戦・・・・・・・65P 潜水艦の大砲 ハワイ、ミッドウェーの砲撃 長駆、米本土を砲撃 インド洋、オーストラリアにも砲弾 好餌は単独航行の商船 第5章 大洋狭しと交通破壊戦・・・・・・・75P 北米西岸に九潜水艦並ぶ 獲物の多かったインド洋 長駆、米本土を砲撃 魚雷自爆の珍事 発射管で機雷を敷設 第6章 三万浬の波濤を越えて日独連絡・・・・・・・95P 帰還はわずかに一隻 チャンドラ・ボース潜水艦で来日 ついに成功した伊号第八潜水艦 哀れ大西洋の捨て子 メキシコ湾で服毒自殺 第2部 敗勢に苦闘する潜水艦・・・・・・・107P 第1章 ミッドウェー海戦・・・・・・・109P 空母ヨークタウンの最期 激怒した米駆逐艦の集中攻撃 潜水戦隊、作戦の機を逸す 第2章 ガダルカナル島争奪戦・・・・・・・116P モレスビー攻略戦 米軍反攻を開始す 空母ワスプを撃沈 ついにラバウル基地を放棄 第3章 飢えるガ島に食料輸送・・・・・・・128P ベニヤ張りの魚雷 「ネズミ輸送」 窮すれば通ず 身を捨てて浮かぶ伊一潜 第4章 敵制海空権下の輸送・・・・・・・139P 潜航、浮上の離れ業 沈没艦の漂流者を救助 敵魚雷艇群を縫って転進、司令部収容 第5章 伊号第一七六潜水艦の奮戦・・・・・・・148P 海の底から弾丸運び たちまち後甲板に火柱 潜航せんか浮上せんか 戦友よ、安らかに眠れ 試験沈座 すわ敵機! 機銃で応戦 爆雷を背負って帰る 第6章 大空襲を受けたトラック基地・・・・・・・165P 低気圧に乗った敵の奇襲 風変わりな命令 忍術近代戦 ついにトラックを去る 第7章 混戦のニュージョージア・・・・・・・181P 暗黒の海上に声あり 敵か味方か 第8章 荒海の北方作戦・・・・・・・187P 秒速二〇メートルの寒風 アリューシャンの偵察 北方の老朽潜水艦 米軍、アッツに反攻 霧中のめくら戦法 第9章 ギルバート・サイパン・フィリピン・・・・・・・199P 犠牲にされた潜水艦 第六艦隊司令部玉砕す 悲運のフィリピン作戦 第10章 勝敗の鍵は電探にあり・・・・・・・213P めくらでつんぼ 新鋭潜水艦の完成 アメリカ側の対潜掃蕩戦術 第3部 ついに人間魚雷出現す・・・・・・・227P 第1章 敗勢を一挙に挽回せん・・・・・・・229P その名も「回天」 第一陣は「菊水隊」 第2章 大挙、「金剛隊」出動す・・・・・・・232P 大型潜水艦の精鋭すぐる 「非理法権天」 グアム島見ゆ 「南十字星はどれですか」 一基また一基、回天発進す 第3章 硫黄島へ出撃命令・・・・・・・248P 大失敗に終わった「千早隊」 勇躍、「神武隊」出動す 惜しや敵を眼前に転進命令 第4章 沖縄戦に潜水艦陣営壊滅・・・・・・・254P 「多々良隊」に突入の命令下る 荒天に遮られて 残る大型潜水艦僅かに四隻 悲壮!敵前に浮上して 第5章 再び洋上に索敵行・・・・・・・263P 爆雷を衝いて回天発進す パナマ運河を狙った海底空母 第4部 伊58潜帰投せり・・・・・・・273P 第1章 重巡インディアナポリス撃沈・・・・・・・275P 好餌を求めて 会敵祈願 水平線上に黒一点 インディアナポリスの最期 「インディアナポリス乗組員の霊に捧ぐ」 第2章 大詔を奉じて矛を収む・・・・・・・297P 回天最後の奮戦 力なく戦果を報告 第3章 ワシントンの軍事法廷・・・・・・・304P 思い出の戦場上空を飛ぶ 撃沈の模様を証言 焦点はジグザグ運動 むすび/期待を裏切った潜水艦戦 (福留 繁)・・・・・・・319P あとがき (豊田副武)・・・・・・・328P <付録> 潜水艦用語解説 <付図> 日本潜水艦の概観 還らざる潜水艦 日本潜水艦各種艦艇、主要性能一覧
関連書籍
「真珠湾攻撃」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第1部 第1章 真珠湾特別攻撃行 「真珠湾攻撃・全記録」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第1部 第1章 真珠湾特別攻撃行 「マレー沖海戦」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第1部 第3章 各地に上がる潜水艦の殊勲 「ミッドウェー」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第2部 第1章 ミッドウェー海戦 「遠い島 ガダルカナル」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第2部 第2章・第3章 「潜水艦隊」
「撃沈戦記」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第3部 第2章 空母ワスプを撃沈 第3部 第3章 身を捨てて浮かぶ伊一潜 「猛き艨艟 太平洋戦争日本軍艦戦史」 ・・・・・・・第1部 第1章 真珠湾特別攻撃行 「写真が語る 「特攻」伝説」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・第3部 ついに人間魚雷出現す 第4部 第2章 大詔を奉じて矛を収む
関連項目
「テニアン島(マリアナ諸島)」>> 「ノース・フィールド周辺」>> 「原爆ピット」「原爆組立工場跡」
「環礁内の海上・海中(トラック諸島)」>> 「特設潜水母艦『平安丸』」
「オアフ島(ハワイ諸島)」>> 「パールハーバー(真珠湾)周辺」
「シドニー(オーストラリア)」>> 「シドニー港攻撃概要」 >>「オーストラリア海事博物館」>> 「特殊潜航艇の部品」 >>「オーストラリア海軍記念館」>> 「特殊潜航艇(イ22号搭載艇)の操縦室部分」 >>「特殊潜航艇の部品」
「キャンベラ(オーストラリア)」>> 「オーストラリア戦争記念館」>> 「特殊潜航艇(イ22号・イ27号搭載艇)」
「インディアナポリス(アメリカ中西部)」>> 「国立米空軍博物館」>>「重巡洋艦「インディアナポリス」に関する展示@」 >>「重巡洋艦「インディアナポリス」に関する展示A」 >>「米海軍重巡洋艦「インディアナポリス」記念碑」
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